音別編

川の口がふさがる場所、音別。清らかな水と豊かな自然、そしてふきと共に歩んだまちの歴史を辿ろう。

川の口がふさがる場所「音別」

音別川の清らかな流れ

「音別(おんべつ)」という地名は、アイヌ語の「オ・ム・ペツ」に由来しています。その意味は、「川の口がふさがる場所」。かつて、この地域の川が海に注ぐあたりに、自然の堆積でできた砂州(さす)が川の出口を一時的にふさいでいたことから、そう呼ばれるようになったといわれています。今も町の中心には、澄んだ流れの音別川がゆったりと流れ、豊かな自然の風景を映し出しています。

清らかな水が支えるものづくりのまち

1976年、大塚製薬がこの地に「釧路工場」を建設しました。工場で使われているのは、音別の大地に育まれたきれいな水。その清らかな水を生かしながら、点滴などの医療用輸液製品や、なんと「オロナミンC」まで製造されているんです。私たちが何気なく手にする商品が、ここ音別の水と技術によって生まれているのです。

大塚製薬釧路工場

ふきとともに歩んだ文化と暮らし

音別町では、2メートルを超えることもある「秋田ふき」が育ちます。この地域の名産でもあるふきは、ただの野菜ではありません。ふきの皮からは「富貴紙(ふきがみ)」という和紙が作られ、地域の人たちが踊る「ふきまつり音頭」とともに、ふきはまちの宝物として親しまれてきました。

巨大な秋田ふき 富貴紙作り
ふきまつり音頭 ふき畑の風景

歴史がつむぐ音別のものがたり

音別には、5000年以上前から人々が暮らしていた痕跡があります。明治の時代には、開拓が進み、鉄道が走り、牧場が広がりました。昭和には炭鉱の町として栄え、全国から人が集まったといいます。その後、炭鉱は閉じられましたが、大塚製薬の工場が建設されたことで、まちは再び歩き出します。

そして今、音別は釧路市の一部として、その歴史と文化を受け継ぎながら、新しい時代を静かに見つめています。北海道の中でも、静かでおだやかな空気に包まれている音別町。川のせせらぎ、豊かな緑、そしてあたたかな人びとの笑顔。このまちには、せわしない日々を少し忘れて、心をほどく時間があります。

ぜひ一度、音別の自然と文化にふれてみてください。ここには、ゆっくりと流れる時間と、変わらず大切にされてきたものがあります。

取材 / 執筆:釧路市地域おこし協力隊